一般財団法人
トライアングル金山記念聴覚障害児教育財団
2017年03月01日 11時03分 (#20)

2016年度 児玉賞に日本社会事業大学大学院生の瀧尾陽太さんが選出されました

 早期の特別支援教育で最も期待される若手におくられる「児玉賞」の選考委員会は、平成28年度の「児玉賞」に日本社会事業大学大学院の瀧尾陽太さん(24歳)が選ばれたと発表した(平成29年2月22日)。瀧尾氏は、聴覚障がい児の早期教育について、「親がろう者と知り合いろう文化を理解する重要性」を指摘し、社会事業大学で最優秀とされた修士論文などの研究活動、幅広いボランティアでの聴覚障がい児支援、そして春からは、聴覚障がい児のための 保育の実践の取り組む施設の開設をすすめる。
 選考委員長の児玉龍彦・東京大学アイソトープ総合センター長は、「すごい行動力、論理展開、まるで特別支援教育界の内村航平の登場だ。社会モデルから文化モデルへ深化してほしい」と期待をのべる。2月25日に授賞式および報償金10万円が授与された。

児玉賞選考委員会児玉賞選考委員会

児玉賞授賞式児玉賞授賞式

 

選考委員のコメント

児玉龍彦・東大教授
聴覚障がい児の早期教育における視野、行動力、シャープさで例をみない異才、いわば特殊教育界の内村航平の登場だ。幼児期は親と子の特別な愛着関係が決定的に働く。型通りの社会モデルをこえて取り組んでほしい。

福島智・東大教授
聴覚障害への取り組みは従来、医療・教育・福祉が担って来た。それに加えて、日本手話という「言語」とろう者アイデンティティという「文化」の導入を、瀧尾氏は実践する。異文化共生社会を体現する若きホープだ。

熊谷晋一郎・東大准教授
冗長な情報保障の選択肢と、幼少期からのロールモデルの存在は、種別を超えた障害児支援の要所だ。しかしその実現には、幅広い知識と粘り強い実践が不可欠である。強い動機と才能、類まれな行動力をもつ瀧尾氏は、この偉業を成し遂げうる有望な若手である。

坂田阿希・東大耳鼻科医師
小児難聴臨床を携わっている私からは、「医療モデル」批判だけでなく包括的な立場に立って研究をしてほしい。熱意や実績は若年ながらも非常に素晴らしいのでこれからの日本を担うようになっていただきたい。

油井昌由樹・俳優
私どもトライアングルの前身は聴覚障害児言語獲得教育に母親法で挑まれた金山千代子先生の「母と子の教室」です。母(父)子間に交わされる「繊細なる精神」こそ最重要と捉えます。この「繊細なる精神」を「文化言語」というキーワードに見出した弱冠24歳の瀧尾陽太君の今後を大いに期待したいと思います。